「万葉集・古今和歌集・新古今和歌集」の要点とは
- 日本最古の歌集である万葉集をはじめ、古今和歌集、新古今和歌集それぞれの名作をピックアップしている
「万葉集・古今和歌集・新古今和歌集」の内容要約
額田王
紫草の生えている野を歩き、標野をあちこち行くとき、野を守っている人が見たりしないでしょうか。いや見るでしょう、あなたが私へ袖を振っているのを。
天武天皇
紫草のように美しいあなた(額田王)を憎く思うなら、わたしは人妻のあなたにどうして恋をするのでしょうか。いや、憎くないから恋をするのです。
柿本人麻呂
琵琶湖を飛ぶ千鳥が鳴くと、昔を思い出してしみじみとした気持ちになってしまうものです。
大伴旅人
なんの意味もないものだなんて思わずに、濁った酒の一杯を飲んでみるのもいいことです。
山上憶良
瓜を食べると子どものことを思い出します、栗を食べるとさらに募ります。どういうことでしょうか、目の前にちらついて眠れないのです。
銀も金も玉も、子どもの魅力に及ぶでしょうか。いえ、及びません。
山部赤人
夜ふけ、久木が生えている河原で千鳥が鳴いています。
大伴家持
春の庭で、美しく咲く桃の花よ。その下に立つ少女よ。
東歌
多摩川に川ざらしにしている布がさらさらと音を立てます。同じように、さらにさらにと子どものことが愛おしくなります。
防人歌
私の着物の裾にすがりついてくる子どもたちを、置いてきてしまいました。母親もいない子どもたちだというのに。
紀貫之
夏に両手ですくった水が、冬になり凍ってしまいました。立春の風が吹く今ごろ、溶かしているのでしょうか。
在原業平
世の中に桜がなくなれば、人の心は平和なことでしょう。
よみ人知らず
五月の橘の匂いを嗅ぐと、昔親しくしていた人の香りがするのです。
藤原敏行
秋が来たことは目には見えませんが、風の音を聞くとはっと気がつくものです。
源宗于
山里は寂しさがあるけれど、特に冬は寂しいものです。人が訪れなくなり、草も枯れることを思うと。
小野小町
あの人を恋しく思いながら寝たからか、あの人が夢に出てきました。夢と知っていたら目覚めなかったのに。
壬生忠岑
会ってもくれない人と別れた日から、月がよそよそしく、夜明けほどつらいものはありません。
良岑宗貞
風よ、雲の通り道を塞いでください。天女をここへとどめておきたいから。
後鳥羽院
山がかすみ、水無瀬川が流れています。春の夕暮れもこんなにきれいなのに、どうして夕暮れは秋が一番だと思っていたのでしょう。
藤原俊成女
風が寝室に入ってきて、着物の袖が桜の香りになっています。枕もやはり同じ匂いなので、春の夜の夢を見ました。
寂蓮法師
どの色が特別寂しいというわけではないけれど、槙が茂っている秋の夕暮れはとても寂しいものです。
藤原定家
馬を止めて、袖の雪を払う場所もありません。佐野の雪の夕暮れでは。
西行法師
年をとれば再びこの山を越えていけると思っていましたが、今この山を越えられるのは命があるからこそです。
式子内親王
私の命よ、絶えるなら絶えてしまえばいいでしょう。恋を抑え切れない私の気持ちがばれてしまうかもしれないから。
藤原俊成
恋しい思いを耐え切れずに、あなたのいる方角を見ていたら、霞を分けるように春の雨が降っています。
藤原良経
人のいない関屋は、窓の上の小さな屋根も荒れ果てて、ただ寂しい秋の風が吹くばかりです。
参考
三省堂『教科書ガイド高等学校国語総合(古典編)』