覚えておきたい古文常識:内裏・皇居編の要点
- 内裏には「禁中」「九重」などさまざまな呼び方があった
- 政務の中心は紫宸殿で行われた
- 天皇の生活は清涼殿で行われた
「禁中(きんちゅう)」「九重(ここのえ)」「内(うち)」「雲の上」内裏の呼び方いろいろ
天皇とそのご家族の住まいをまとめて「内裏(だいり)」といいますが、じつは「内裏」には様々な呼び方があります。「内(うち)」「九重(ここのえ)」「雲の上」「禁中(きんちゅう)」「禁裏(きんり)」など。とくに「九重」は、和歌によく出る表現です。
内裏の中枢は「紫宸殿(ししんでん)」
天皇の即位などの重要な行事に用いられる公式な場所を「紫宸殿(ししんでん)」といいます。南向きに立っていた建物なので、「南殿(なんでん・なでん)」とも呼ばれます。紫宸殿の正面には、天皇から見て左に桜、(左近の桜)右に橘(右近の橘)が植えられています。
天皇の生活の場所は「清涼殿(せいりょうでん)」
天皇が私生活を送られる場所を「清涼殿(せいりょうでん)」といいます。清涼殿はさらに細かい部屋に分かれていて、「昼の御座(おまし)」という昼間の生活をなさる場所であり、ここで政務もおこないました。「殿上(てんじょう)の間」は、宮中で働く身分の高い貴族だけが入れる場所で、ここに入れる貴族は「殿上人(てんじょうびと)」といいます。
参考文献
荻野文子『マドンナ古文常識217 パワーアップ版』学研 2013